fc2ブログ

力学その13

7-3 剛体の慣性モーメント その2

斜面を転がり落ちる玉の加速度を求める。
転がり摩擦は無視できるものとし、はじめ玉はは静止している。

この問題にはエネルギー保存の法則を用いるといい。
それは、角運動量と直線運動の総合であるから。

球の半径をa,質量をM,斜面に沿う速度をv,球の慣性モーメントをI,回転の角速度をωとすると

1/2*M*v^2 + 1/2*I*ω^2 + M*g*y = M*g*H

となる。ここでyはある時点での球の高さ、Hは初めの時点での球の高さである。

また、球と面の間には滑りがないので、球の進んだ距離は接地点の進んだ距離である。
そのため

a*ω=v

である。

したがってまとめると

1/2*M*v^2 + 1/2*I*v^2/a^2 = M*g*(H-y)

となる。ここでh-yは斜面の角θを用いると、球の進んだ距離sに対し

H-y = s*sinθ
となるため結局

1/2*(M+I/a^2)*v^2 = M*g*s*sinθ

これをtで微分すると

1/2*(M+I/a^2)*2*v*dv/dt = M*g*ds/dt*sinθ

ds/dt = vなので

(M+I/a^2)*dv/dt = M*g*sinθ

よって

dv/dt = M*g*sinθ/(M+I/a^2)

ここで密度が一様な球の慣性モーメントは2/5*M*a^2なので

dv/dt = M*g*sinθ/(M+2/5*M) = M*g*sinθ/(7/5*M) = 5/7*g*sinθ

となる。
g*sinθは重力加速度の斜面に沿う成分である。
もし回転を考えないならば、加速度はg*sinθである。
しかし、密度が一様な球は珠の大きさに関係なく、回転にエネルギーを取られるため、加速度は5/7倍になる。

斜面に接するところで球に滑りがないとしているので、転がりの静止摩擦力が加わる。
これは回転を加速する。(回転の向きは落ちる向きと逆であるため)
摩擦力をFとすれば、球の重心にかかる力のモーメントはF*a(スカラーであるため)
これが重心の周りの回転を加速する。したがって角運動量の運動方程式より

I*dω/dt = F*a

となる。先のようにωはv/aなので

F = I/a^2 * dv/dt

であり、先に求めたdv/dtより

F = 2/5*M*a^2/a^2 * 5/7*s*sinθ = 2/7*M*g*sinθ

となる。
面と球の間に滑りがなければ、この摩擦力は仕事をしないので、エネルギーは変化しない。これは静止摩擦である。?

静止摩擦Fは最大静止摩擦力F_0を超えることが出来ない。
静止摩擦係数をμとすると、最大静止摩擦は斜面に垂直な重力の成分M*g*cosθに比例するので

F_0 = μ*M*g*cosθ

したがって滑らない、つまり静止摩擦が最大静止摩擦力を超えない場合のを考えると

F_0 > F

つまり

μ*M*g*cosθ > 2/7*M*g*sinθ

変形すると

1 > 2/7*1/μ*sinθ/cosθ

tanθ < 7/2*μ

を超える角度になると滑りが発生する。


玉突きの問題

水平面上においた密度一様球に、中心を含む鉛直面内で水平な撃力を与えた時の運動を調べる。
今回は力積を用いると分かりやすい。

撃力の力積をJとする。力積は運動量の変化に等しいので、質量Mの球は極めて短時間の作用で

M*v_0 = J

を満たす。つまり初め静止なので、運動量の変化はそのまま初速である。
同時に撃力のモーメントによって回転運動も生じる。撃力Fが面から高さlのところで水平に与えられたとすると、
重心に対する力のモーメントは、球の半径aとして

(l-a)*F

である。実際には静止摩擦が発生するので摩擦力をF'とすると

I*dω/dt = (l-a)*F - a*F'

となる。撃力の働く短い時間でこれを積分すると

I*ω_0 = (l-a)*J

極めて短い時間の摩擦力の力積は無視できる。また、初め静止しているので角運動量の変化はそのまま角速度の初速である。

この時の右辺は力積モーメント、あるいは角力積と呼ばれる。

慣性モーメントIは一様球なので2/5*M*a^2なので
回転のための速度の大きさa*ω_0は

a*ω_0 = (l-a)*J*a/I = (l-a)*J*a*5/(2*M*a^2) = 5(l-a)*J/(2*M*a)

となる。これは、滑りがなければ球の進行と完全に一致する速度のはずである。
逆を言えば、球の、面に対する滑りの速度v'は

v' = v_0 -a*ω_0

である。計算すると

v' = J/M - 5(l-a)*J/(2*M*a) = J/M(1 - 5(l-a)/2a) = J/M*(7a-5l)/2a

となる。ここで、球を打つ高さlに注目すれば三つの場合が考えられる。

一つめはv' = 0、となる場合つまり
l = 7/5*aとなる場合。
この時滑りは存在しないので、球はほとんど初めの速さで転がり続け、静止していた同じ質量の他の玉に正面衝突するとこれを動かして自分は静止する。

二つめはv' < 0、となる場合つまり
l > 7/5*aとなる場合。
この時は球の進行よりも回転の方が早いため、摩擦力は回転を減速しながら、直進を助長する方向に働く。
そのため、球は滑りがなくなるまで直進運動が加速され、その後ほぼ一定の速さで進む。
v'<0の間に他の玉にぶつかった場合、これを動かしたあとなお回転運動が前進しようとする。
ビリヤードでは押し球である。

三つめはv' > 0、となる場合つまり
l < 7/5*aとなる場合。
この時滑りの摩擦力は直進運動を減速し、回転運動を加速させる方向に働く。滑りの摩擦係数をμとすると
摩擦力の大きさはμ*M*gであるから、直進速度をv,回転速度をωとすると
滑りだした後の加速度は摩擦のみによって決まり、

直線加速度は運動方程式より
M*dv/dt = -μ*M*g

角運動量は角運動量の運動方程式より
I*dω/dt = μ*M*g*a

となる。

したがってこれらをtで積分すると

v = -μ*g*t + C

t=0の時初速v_0なので

v = v_0 - μ*g*t = J/M - μ*g*t

同じように

dω/dt = 5/2*μ*M*g*a/(M*a^2) = 5*μ*g/(2*a)

ω = 5/2*μ*g/(2*a)*t + ω_0 = 5(l-a)/2a*J_M + 5/2*μ*g/(2*a)*t

これがv = a*ωとなるような時間tまで続く。つまり

J/M - μ*g*t = 5(l-a)/2*J_M + 5/2*μ*g/2*t

t = (7a-5l)*J/(7*M*g*a*μ)

である。最終的には

v = aω = 5l/7a*J/M

となるような速度ですべらずに転がる運動に変わる。もしこのtより前に他の玉にぶつかった場合、
直進運動が止められて、残っていた逆向きの摩擦力によって球は逆に加速されて戻ってくる。
ビリヤードで言う引き球である。
この最後の速度が摩擦係数μに寄らないのは面白い。
さらに、l 0の場合と同じである。


例題2

バットに撃力が加わったとき、回転軸に抗力が生じないような撃力の位置を考える。
つまり、バットのどこに当てれば手が痛くならないかということである。


軸をO、撃力が働く点をx軸上で(x,0)とする。Oの周りの慣性モーメントをIとし、ぶつかった時の力積Y'によって生じる回転の角速度ωは

I*ω = x*Y'

である。また、軸における抗力のx,y成分はO_x,O_yとし、バットの質量をMとすれば、
重心の得た加速度はバットの外力の和と質量の商に等しく

M*v_x = O_x

M*v_y = O_y + Y'

である。

今回はv_xは0であり、v_yはh*ωである?なんで角速度になるの?時間が短いから?

O_x = 0
O_y = ω(M*h-I/x)

である。この軸の抗力O_yがなくなるような位置xを考えればいいので

x_0 = I/(M*h)

この時のxを打撃の中心という。つまり、手で握った場所からx_0だけ離れた点Pでボールを打てば、手は痛くない。

Oを通る直線を固定軸とする物理振り子の相等振り子の長さlはちょうどx_0に等しい。これはOを決めた時のx_0を実験的に見出す方法である。

問題7-3-1

I_z = Σ[j]m_j*r_j^2 = Σ[j]m_j*(x_j^2+y_j^2) = Σ[j]{m_j*x_j^2 + m_j*y_j^2}
=I_x+I_y

問題7-3-2

運動エネルギー式より

1/2*M*v^2 + 1/2*I*ω = x*M*g*sinθ

円柱なので慣性モーメントは1/2*M*a^2

さっきと同じように解くと

dv/dt = 2/3*g*sinθ




7-4 コマの歳差運動

普通のコマは、軸の周りに回転対称に形、質量分布である。
ここでコマを回し、軸を机上に直立させるとそのままで回転を続けるが、
少し傾けると軸が鉛直線と一定の角を保ちながら一定の角速度で旋回する。
これを歳差運動という。コマは、歳差運動の他に軸が鉛直線となす角が周期的に変わる運動も行ない、
これを章動と呼ばれる。これを厳密に扱うのは難しい。
そこで、コマの回転が超早い時の近似を用いて歳差運動を明らかにする。

コマの軸が支点を通る鉛直線(z軸)からθだけ傾いて歳差運動をしているとする。
支点の周りの重力のモーメントは、コマの重心に質量が集まったとすればよいので
コマの質量M、支点から重心までの長さlとすれば
モーメントNの大きさN'は

N' = M*g*l*sinθ

である。また、重力モーメントNは鉛直線とコマの軸を含む平面に垂直である。

支点の周りのコマ全体の角運動量をLとする。微小時間dtの間のLの変化はdLとすれば

dL = N*dtである。

角運動量Lはコマ自体の自転の角運動量と、コマ全体がz軸の周りを回る歳差運動の公転の角運動量からなる。
ここではコマ自体の角運動量がものすごく大きいとして、歳差運動の角運動量を無視できるとする。
すると、角運動量Lはコマの自転角運動量と等しくなる。

そこで、支点からコマの軸に沿ってベクトルLを置く。Lの長さは角運動量Lの大きさに等しい。

歳差運動のために、Pはz軸の周りを半径L*sinθの円を書いて回る。この円運動の角速度をΩとする。
微小時間dtの間にPの動いた距離はΩ*dtに等しい。
また、dtの後のP'とOの距離はすなわち変化後の角運動量であるため
OP'-OP、つまりPからP'へのベクトルは角運動量の変化dLに等しい。

また、dtを十分小さく取れば、PP'の方向はコマの軸とz軸を含む平面に垂直で重力モーメントの向きと等しい。
つまり

dL = PP'がなりたつ。

PP'の大きさを考えると、これは半径L*sinθ,角速度Ωの微小時間の移動量となるので

|PP'| = L*sinθ*Ω*dt

となる。これは角運動量の変化dLと等しいので

dL = L*sinθ*Ω*dt

となる。したがって重力モーメントとの式を立てると

L*sinθ*Ω*dt = M*g*l*sinθ*dt

でありこれをΩについてとけば

Ω = M*g*l/L

となる。軸の周りのコマの慣性モーメントをIとし、軸の周りの角速度をωとすれば、

L = I*ωとなるので、先の式は結局

Ω = M*g*l/(I*ω)

となる。コマの自転が早ければ早いほど、歳差運動は遅くなる。

高速で回転しているコマは、重力が働いても、倒れないで歳差運動を行う。このように
高速で回転している物体は力の方向に倒れないで、力に対して垂直な向きに回転軸が移動する。
これをジャイロ効果という。

地球も引力に対してモーメントを持つので歳差運動を行う。
地球の場合、地軸を立たせる向きに引力のモーメントが働くため、自転と反対の方向に歳差運動を行う。


問題7-4-1

歳差運動の角速度Ω = M*g*l/(I*ω)

I = 1/2*(π*ρ*a^2)*a^2

計算するとΩ = 23.3(rad/s)

問題7-4-2

わからん!解答もないし困った。



まとめ

7-3その2

斜面から転がる球についての運動を導いた。
斜面に対する位置変化(運動)の運動エネルギー、回転の運動エネルギーの和が位置エネルギーであることから導く。

また、ビリヤードのようにある力が球に働いた時の球の運動を調べた。
その結果、打つ位置7/5*aを境にして、回転と直進が釣り合っている場合、回転力が勝る場合、直進力が勝る場合の3種類の挙動があり、
それらがビリヤードにおいては押し球、引き球、真芯と対応していることがわかった。

7-4
コマの歳差運動について、簡単な近似を用いて調べた。
高速で回転するこまの歳差運動は、コマ自体の角速度との関係式

Ω = M*g*l/(I*ω)

によって導かれ、コマの回転が早いほど遅く、また重心と支点の距離が長いほど早くなる事がわかった。


わからないところ

7-3

球が転がり落ちる際に、摩擦を扱ったが、なぜ静止摩擦なのか?回転接地面は滑っているわけではないからか?

例題2において、v_yはY軸方向の速度ではないのか?それを円運動の速度と同一視していいのか?

7-4

例題2のモーメントの向き・自転方向・外力の向きと歳差運動の方向の関係が全然わからない。
数式から出てくるのか?

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR