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力学その14

8 相対運動

8-1 回転しない座標系

電車が加速したり曲がっているときは、いつもの運動方程式は成り立たない。
地球も自転しているため、長い振り子などには、単純に運動方程式を適用させることが出来ない。
しかし、太陽を中心にし、恒星系に対して静止した座標系を考えるとニュートンの運動方程式が成り立つ。
このような、ニュートンの法則がそのままで成り立つ座標系を慣性系という。

慣性系に対し、動いている座標系がどうなるか考える。

原点をO、x,y,z軸のS座標系に対し、運動している原点O'、x',y',z'のS'座標系を考える。
また、Sから見たS'の原点Oを(x_0,y_0,z_0)とする。

はじめにSが回転していない場合を考える。SとS'の座標軸がそれぞれ平行ならば

x = x_0 + x'
y = y_0 + y'
z = z_0 + z'

がなりたつ。それぞれを成分とするベクトルrを考えると

r = r_0 + r'

である。
慣性系Sに対しては運動方程式

m*d^2r/dt = F

が成り立つ。
そこでrを二回微分すると

d^2r/dt^2 = d^2r_0/dt + d^2r'/dt

つまり

m*d^2r'/dt^2 = F +(-) F'

ここでF'は

F' = -m*d^2r_0/dt^2

である。

先の式に置いて、m*d^2r'/dt^2はS'系における仮の加速度である。
つまり、この式は、S'を基準にした運動方程式である。また、このS'が加速度運動をしているために、F'がさう要しているようにみえる。
このF'はみかけの力であって、慣性力と呼ばれる。

相対速度が一定の場合、原点の移動速度v_0は一定であるため、d^2r_0/dt^2 = 0である。
そのためS'系に対しても、

m*d^2r'/dt^2 = F

が成り立つ。言い換えると、「ひとつの慣性系Sに対して等速度で動く座標系S'も慣性系である。」
これをガリレイの相対性原理という。

相対速度v_0が一定ならば,その方向をx軸に取り、これらが重なるようにすれば

x = v_0t + x'
y = y'
z = z'

微分すると

v_x = v_0 + v_x'
以下略

によって(x,y,z)と(x',y',z')のあいだの関係を付けられる。この関係をガリレイ変換という。

問題8-1-1

y,zはそもそも同じなのでxのみで考える
d^3x/dt^3 = d^3x'/dt^3
よって等しい


8-2 重心系と実験室系

原子核実験などで、2個の粒子の衝突が問題にされる。6章で、一方の粒子に対する他方の粒子の運動(相対運動)を扱った。
重心運動は衝突によって変わらないから、重心と共に移動する座標系は一定速度で動く。この座標系を重心系という。
重心をr_0 = Oとすると、相対座標r = r_2-r_1を求めたあとは、

r_1 = -m_2/(m_1+m_2)*r
r_2 = -m_1/(m_1+m_2)*r

によって、各粒子の位置を知ることが出来る。

原子核実験では静止した原子核に他の粒子をあてて、散乱実験を行うことが多い。
実験室に固定した座標系を実験室系という。重心系と実験室系の間の座標変換はガリレイ変換である。

例えば質量m_1の粒子が実験室系で静止していたとし、質量m_2の粒子を速度v_0で入射したとする。
全運動量m_2*v_2が重心の運動量(m_1+m_2)*v_gと等しいので

(m_1+m_2)*v_g = m_2*v_0

が与えられる。また、実験室系から重心系に移動するときは
それぞれの速度から重心の移動速度を差っ引けばいいので

重心系のそれぞれの速度をV_1,V_2とおくと

V1 = v_1 - v_g = -m_2/(m_1+m_2)*v_0
V2 = v_0 - v_g = m_1/(m_1+m_2)*v_0

となる。重心系では散乱後も重心は静止しているので
散乱後の速度をV'とすれば、運動量保存則より

m_1*V_1' + m_2*V_2' = 0

また、エネルギー保存則より

1/2*m_1*V_1^2 + 1/2*m_2*V_2^2 = 1/2*m_1*V_1'^2 + 1/2*m_2*V_2'^2 = m_1*m_2/(2*(m_1+m_2))*v_0^2

連立方程式として解くと

V_1'^2 = m_2^2/(m_1+m_2)^2 * v_0^2

となる。すなわち散乱後の速さは

|V_1'| = m_2/(m_1+m_2)*|v_0|
|V_2'| = m_1/(m_1+m_2)*|v_0|

となる。これは衝突前のそれぞれの速度の大きさと等しい。
つまり、重心系では2粒子とも散乱前の速さと散乱後の速さが等しく、散乱は重心系に対して対称にみえるのである。

ここから実験室系に戻るには、それぞれの速度に重心の速度を足してやればいい。
v_1 = V_1 - V_1 = 0
v_2 = V_2 - V_1 = v_0
v1' = V_1' - V_1
v2' = V_2' - V_1

である。
実験室系での散乱角Φと重心系での散乱角φの間には

tanΦ = V_1'*sinφ/(V_2'*cosφ+V_1')

という関係がある。ここで

V_1/V_2 = V_1'/V_2' = m_2/m_1

を持ち込むと

tanΦ = sinφ/(cosφ+(m_2/m_1))

となる。

問題8-2-1

質量が等しい玉なので、玉1の速度をv_1,玉2の速度をv_2とすると
運動量より

2m*v_g = m*v_1+m*v_2

よって重心の速度v_gは

v_g = v_1+v_2/2

重心系に移って、初速度は

V_1 = v_1 - v_g = v_1-v_2/2
V_2 = v_2 - v_g = v_2-v_1/2 = -V_1

衝突後の速度はエネルギー保存則より

m*(V_1'+V_2') = m*(V_1+V_2) = 0

V_1' = -V_2'

1/2*m*V_1'^2 + 1/2*m*V_2'^2 = 1/2*m*V_1^2 + 1/2*m*V_2^2

V_1^2 = V_1'^2

V_1' = ±V_1

一致するのはありあえないのか?

V_1' = -V_1 = V_2
V_2' = -V_1' = V_1

実験室系に戻ると

v_1' = V_1' + v_g = v_2
v_2' = v_1

となり、どちらの系でも双方の速度が交換される。


まとめ

8-1

固定座標に対し、運動する座標を考えた。
座標系が加速度運動している場合、運動している座標系での運動方程式では、見かけの力が働くようにみえる
これを慣性力という。
また、座標系が等速運動ならば、そのままニュートンの運動方程式が成り立つので、これも慣性系である。


8-2

重心を原点とする座標系を考えた。外力が働かない場合、重心は等速運動をするため、慣性系として見ることが出来る。
また、原子核実験などでは、重心系と実験室系で計算しやすい方を行き来したりする手法がよく取られる。


わからないところ

問題8-2-1

普通に計算すると衝突後の速度は2種類ありうる。直感的にはそのままというのはありえないので一方が否定されるが、
数式上ではどのように否定されるのだろうか。
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