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制御工学その4

2.5 ラグランジュの運動方程式による力学系の導出



単純な構造の力学系は、力の釣り合いによって微分方程式を得ることができた。
が、力学系が多リンクマニピュレータなどの複雑な構造になると微分方程式の導出は困難である。
このような場合、ラグランジュの運動方程式から導く。

ラグランジュの運動方程式は

d(∂T/∂q_i'/dt - ∂T/∂q_i + ∂U/∂q_i + ∂D/∂q_i = v_i

である。ここで
Tは運動エネルギー
Uは位置エネルギー
Dは損失エネルギーである。また、

q_i (i=1,2,3,..p)
は一般化座標
v_i (i=1,2,3...p)
は一般化力
である。

一般化座標は、それぞれの質点におけるp個の角や位置であり、一般化力は質点における外部から加わる力やトルクである。

例2.5

垂直駆動アーム

前節で扱った垂直駆動アームをラグランジュの運動方程式で表すことを考える。
アームの中心座標を角度で合わすと、(-l*sinθ(t),-l*cosθ(t))となる。
そのため位置エネルギー、運動エネルギー、損失エネルギーはそれぞれθ(t)のみで以下のように表される。

T = 1/2*J*θ'(t)^2
U = -M*g*l*cosθ(t)
D = 1/2*c*θ'(t)^2

これを用いて運動方程式をたてる。一般化座標はq(t)=θ(t)の一種類、一般化力をτ(t)とすると

d(J*θ'(t))/dt - 0 + M*g*l*sinθ(t) + c*θ'(t) = τ(t)

つまり

J*θ''(t) + c*θ'(t) + M*g*l*sinθ(t) = τ(t)

という非線形微分方程式が得られる。


問題2.7

u(t) = f(t)
y(t) = z(t)

とすると、ラグランジュの運動方程式より

1/2*m*y'(t)^2をy'(t)で偏微分したものm*y'(t)の時間微分が左辺第一項
位置エネルギーはなし、損失エネルギーは1/2*c*y'(t)^2のy'(t)での偏微分c*y'(t)

m*y''(t) + c*y'(t) = u(t)

となる。


2.6 モデルの標準形



今までに取り上げたのは、力学系、電気系のみであったが、熱系、電磁気系などさまざまな系が考えられる。
これらの物理系のあいだには似通った関係がある。例えば台車とバネ、ダンパは問題2.5でやったように

P(s) = 1/(Ms+c)

であるし、RL回路の関係は

P(s) = 1/(Ls+R)

である。これらは伝達関数が同じ形式になっている。
このように、制御工学の分野では電気系などの系を考えずに物理システムの違いを捉えたい。
そこで、1次遅れ系、2次遅れ系といった標準モデルで動的システムを捉えることを考える。

1次遅れ系

一次遅れ系とは、伝達関数が

P(s) = K/(1+Ts)

で表されるものである。ここで遅れとは、例えば入力が正弦波のときに、出力の正弦波の位相が遅れていることを意味する。

Tは時定数と呼ばれ、システムの立ち上がりに関するパラメータである。
今までに示した例では、RC回路やRL回路、問題2.5の台車などが一次遅れ系である。

例2.6

RL回路の伝達関数を一次遅れ系の標準形で表す。

P(s) = 1/(Ls+R)

であるので、これを標準形にすると

P(s) = (1/R)/(1+(L/R)s)

となる。

問題2.5

台車の伝達関数は

P(s) = 1/(Ms+c)

である。構造が例題と全く同じで標準形は

P(s) = (1/c)/(1+(M/c)s)

となる。

2次遅れ系

2時遅れ系とは、伝達関数が

P(s) = Kω_n^2/(s^2+2ξω_n*s+ω_n^2)

という形で表されるものである。ここで
ξは減衰関数
ω_nは固有角周波数
と呼ばれ、それぞれシステムの減衰性、システムの即応性に関するパラメータである。

今までに示した例では、RCL回路や、垂直駆動アーム(の近似)や、バネ・ダンパ系が2時遅れ系である。


例2.7

垂直駆動アームの伝達関数は、t=0の近傍で

P(s) = 1/(Js^2+cs+Mgl)

となる。これを標準形で表すと

P(s) = (1/J)/(s^2+(c/J)s+(Mgl/J))

となる。ここからまずω_nは

ω_n = sqrt(Mgl/J)

と定まる。よって

K = 1/Mgl

また2*ξ*ω_n = c/Jよりξ = c/(2*J*sqrt(Mgl/J))

よって

ξ = c/(2*sqrt(MglJ))

となる。

問題2.8

例2.2のRCL回路の伝達関数は

P(s) = 1/(CLs^2 + RCs + 1)

標準形に治すと

P(s) = (1/CL)/(s^2 + (RC/CL)s + (1/CL)

ω_n = sqrt(1/CL)
K = 1

2*ξ*ω_n = RC/CLより

ξ = (RC/CL)*1/2*1/sqrt(1/CL) = RC/(CL*2*sqrt(1/CL) = RC/2sqrt(CL) = R/2*sqrt(C/L)

となる。


伝達関数の標準形にはその他様々な種類がある。以下に一覧を書く

比例要素 P(s) = K
微分要素 P(s) = Ks
積分要素 P(s) = K/s
一時進み要素 P(s) = K+Ts
位相進み要素 P(s) = α*(1+Ts)/(1+αTs) (0<α<1)
位相遅れ要素 P(s) = (1+Ts)/(1+αTs) (0<α<1)
むだ時間要素 P(s) = e^(-Ls)

ここで、特殊な伝達関数であるむだ時間要素に関して、
たとえばむだ時間要素となるようなものは、水流において、入り口と出口の距離があるようなシステムである。

入水量をu(t),出水量をy(t)とし、パイプ内の水が進む速度をv(t),パイプの長さをlとすると
y(t)はu(t)よりもL=l/v(t)時間だけ遅れて出てくる。なのでシステムは

y(t) = u(t-L) (L>0)

となる。また、0ここでT=t-Lとおき、両辺をラプラス変換すると左辺はそのままY(s)
右辺は

L[u(t-L)] = int[0-∞]{u(t-L)*e^-st}dt

t = T+Lなので

L[u(t-L)] = int[0-∞]{u(t-L)*e^-st}dt = int[0-∞]{u(T)*e^-s(T+L)}dT*dt/dT = e^-Ls * int[0-∞]{U(T)*e-sT}dT = e^-Ls * U(s)

よってこれはむだ時間要素となる。
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