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制御工学その6

第3章 伝達関数の過渡特性と定常特性



システムの振る舞いを調べる代表的な方法は、システムに単位インパルス信号や
単位ステップ信号などの基本信号を加え、システムの出力を調べるというものである。
本章では、まずラプラス変換を利用することによって基本信号と応答信号を計算する方法を書く。

また、システムの時間応答が落ち着くまでの時間(過渡特性)及び落ち着いた後の特性(定常特性)
について説明する。

3.1 ラプラス変換を利用した時間応答の計算



3.1.1 基本応答


1.単位インパルス関数


入力信号として、単位インパルス関数、単位ステップ関数、単位ランプ関数と呼ばれる信号を加え、その時の出力を調べることが多い。

ここでインパルス関数とは

δ_ε(t) = { 1/ε (0≦t≦ε) , 0 (0ε)}

となるような関数である。ここでεを0向かう極限にした時の

δ(t) = lim[ε→0]{δ_ε(t)}

を単位インパルス関数(デルタ関数)という。つまり、入力の開始した瞬間に非常に大きな値を入力する関数である。
この単位インパルス関数をシステムの入力とした時の出力をインパルス応答という。

このとき

int[0-∞]{δ(t)}dt = 1

である。


2.単位ステップ関数

単位ステップ関数とは

U_s(t) = {0 (t<0) , 1 (t≧0)}

となるような関数である。つまり、開始と同時に単位値の入力が続くものである。

さらに、この単位ステップ関数を入力としたときの出力を単位ステップ応答という。

3.単位ランプ関数

tU_s(t) = {0 (t<0),t (t≧0)}

となる関数を単位ランプ関数という。つまり、開始と同時に入力値が時間に比例しながら増加していくものである。
これを入力としたときの出力を単位ランプ応答という。

3.1.2 基本関数のラプラス変換

ラプラス変換の定義式

F(s) = L[f(t)] = int[0-∞]{f(τ)*e^(-sτ)}dτ

から基本関数のラプラス変換を考える。

最も簡単なのは単位ステップ関数で

L[U_s(t)] = int[0-∞]{U_s(t)*e^-st}dt

ここでU_s(t)はRe[s]>0の時に常に1なので

L[U_s(t)] = int[0-∞]{U_s(t)*e^-st}dt = int[0-∞]{e^-st}dt = 1/s

となる。

また、単位ランプ関数tU_s(t)はRe[s]>0のときtなので部分積分法を用いれば簡単で

L[U_s(t)] = int[0-∞]{t*e^-st}dt = [0-∞]{-1/s*t*e^-st} - int[0-∞]{-1/s*e^-st}dt = 1/(s^2)

となる。

また、単位インパルス関数はインパルス関数を元に考えると

インパルス関数は0
Lap[δ_ε(t)] = int[0-∞]{δ_ε(t)*e^-st}dt = int[0-ε]{1/ε*e^-st}dt = (1-e^-sε)/(εs)

である。ここでイプシロンを0に向かう極限とすると、

lim[ε→0]{(1-e^-sε)/(εs)} = 1

である。

次に、余弦関数cosωt (t≧0)のラプラス変換を求める。

オイラーの公式を用いる。

cosωt = (e^iωt+e^-iωt) / 2

であるので、ラプラス変換はRe[s]>0のとき、

L[cosωt] = int[0-∞]{cosωt*e^-st}dt = int[0-∞]{(e^iωt+e^-iωt)*e^-st/2}dt
= 1/2*int[0-∞]{(e^((iω-s)*t)+e^(-(iω+s)t))}dt

= 1/2 * (1/(s-ωi)+1/(s+ωi)) = s/(s^2+ω^2)

となる。

問題3.1

e^-atをラプラス変換する

ちゃかちゃか計算して

L[e^-at] = 1/(a+s)

次、t*e^-atのとき

L[t*e^at] = 1/(a+s)^2

次、sinωt

L[sinωt] = ω/(s^2+ω^2)


というように計算したけどひたすらめんどくさいので普通はラプラス変換表を使う。
また、ラプラス変換は線形性を持つので、線形に分解できる。
例えば

f(t) = 2*e^-3t + 3t + 4t^2

のラプラス変換は

L[2*e^-3t + 3t + 4t^2] = 2*L[e^-3t] + 3*L[t] - 4*2!*L[t^2/2!]

= 2*1/(s+3) + 3*1/s^2 - 8*1/s^3

となる。

問題3.2

f(t) = 3 -e^-2t + 2*e^t

= 3/s - 1/(s+2) + 2*1/(s-1)

f(t) = t + t^2 + t^3

= 1/s^2 + 2*1/s^3 + 6*1/s^4

f(t) = 2*sin3t + cos2t

= 6/(s^2+9) + s/(s^2+4)

f(t) = 1 - e^(-3t)*cost

= 1/s - (s+3)/((s+3)^2+1)

f(t) = 3*t^2*e^-2t

= 3*2!*t^2/2!*e^-2t

= 6/(s+2)^3

f(t) = e^-2t*(sin3t+cos3t)

= e^-2t*sin3t + e^-2t*cos3t

= (s+2)/((s+2)^2+9) + 3/((s+2)^2+9) = (s+5)/(s^2+4s+13)


これでも充分めんどくさい

3.1.3 逆ラプラス変換

ラプラス変換した関数から元の関数に戻す、つまり逆関数を

f(t) = L_-1[f(s)] (t≧0)

と表す。これをラプラス逆変換という。

例えば

f(s) = 1/s-1/(s+5)

線形性から

f(s) = L_-1[1/s] - L_-1[1/(s+5)]

= 1 - e^-5t

次、f(s) = 1/(s^2+s+1)

f(s) = 1/((s+1/2)^2+3/4)

= 1/((s+1/2)^2+(sqrt(3)/2)^2)

= sqrt(3)/2 * (sqrt(3)/2)/((s+1/2)^2+(sqrt(3)/2)^2)

ここで第二項がe^-at*sinωt式なので

= 2/sqrt(3) * e^-(t/2)*sin(sqrt(3)/2)t

となる。めんどくさい。


問題3.3 ラプラス逆変換を求める

(1) f(s) = 3/(s+2) + 2/s

= L[3*e^-2t + 2]

(2) f(s) = 1/(s+1)^3

= L[t^2/2*e^-t]

(3) f(s) = (s+1)/(s^2+25)

= L[s/(s^2+5^2) + 1/(s^2+5^2)]

= L[cos5t + 1/5*sin5t]

(4) f(s) = (2s+5)/(s^2+2s+5)

= L[2*(s+5/2)/(s+1)^2+2^2]

= L[ 2*{(s+1)/((s+1)^2+2^2) + (3/4)*2/((s+1)^2+2^2)}]

= L[2{e^-t*cos2t + 3/4*e^-t*sin2t}]

まとめ

システムの振る舞いを調べるために、代表的な入力関数を与えて、出力を見ることで示す。

単位インパルス関数 δ_ε(t) = { 1/ε (0≦t≦ε) , 0 (0ε)}でδ(t) = lim[ε→0]{δ_ε(t)}

単位ステップ関数 U_s(t) = {0 (t<0) , 1 (t≧0)}

単位ランプ関数 tU_s(t) = {0 (t<0),t (t≧0)}

の三つが代表的な基本信号となる。

また、これらのラプラス変換を考えた。
この際、頑張って計算するのはめんどくさいので大体はラプラス変換表を用いる。


わからないところ

今回はとくになし。信号関数の定義域がt>0のとき、ラプラス変換後の定義域は
Re[s]>0となる。これはラプラス変換後のラプラス演算子sの実数領域のみを見ることを表すが
値の対応はそのままでいいのだろうか?
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