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制御工学その14

4.2 フィードバック制御の安定性



4.2.1 特性方程式

フィードバック制御系において、P(s)とC(s)を分母分子に分けて考える。
つまり

P(s) = N_P(s)/D_P(s)
C(s) = N_C(s)/D_C(s)

ということである。この時外部入力r(s),d(s)からP(s),C(s)の出力y(s),u(s)への伝達関数は

G_yr = P(s)C(s)/1+P(s)C(s) = N_P(s)N_C(s)/D_P(s)D_C(s) / (D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s))/D_P(s)D_C(s)

= N_P(s)N_C(s)/D_P(s)D_C(s) * D_P(s)D_C(s)/(D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s))

= N_P(s)N_C(s)/(D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s))

G_yd(s) = P(s)/1+P(s)C(s) = N_P(s)D_C(s)/(D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s))

G_ur(s) = C(s)/1+P(s)C(s) = N_C(s)D_P(s)/(D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s))

G_ud(s) = -P(s)C(s)/1+P(s)C(s) = -N_P(s)N_C(s)/(D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s))

となる。したがってこれらの分母に注目すれば

前節(図4.3)で扱ったフィードバック制御は、

1+P(s)C(s) = D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s) = 0

である多項式の根の実部がすべて負である場合に、安定である。

さらに、此処で言う安定性は、内部信号(ここではCからP)を含んでいるため
内部安定性と呼ばれる。

問題4.2

(1 P(s) = 1/s-1 , C(s) = 2s+1/s

分解すると

N_P(s) = 1
D_P(s) = s-1
N_C(s) = 2s+1
D_C(s) = s

安定式に掛けると

D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s) = s(s-1) + 2s+1 = s^2 + s + 1

二つの根の実部は-1/2なのでこれは安定

(2)P(s) = 1/(s-1)(s+2) C(s) = 1

分解すると

N_P(s) = 1
D_P(s) = (s-1)(s+2)
N_C(s) = 1
D_C(s) = 1

安定式に掛けると

D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s) = (s-1)(s+2) + 1 = s^2 + s - 1

根は1±sqrt(5)/2で、1


4.2.2 不安定な極零相殺

前の方でも少し述べたが、P(s)とC(s)のあいだで不安定な極と零点が相殺している場合
不安定になる場合がある。

P(s)の不安定極とC(s)の不安定零が相殺している場合

例えば

P(s) = 1/s-1
C(s) = s-1/s+1

の時、特性方程式は

D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s) = (s-1)(s+2)

であり、内部安定ではない。実際、

G_yd = P(s)/(1+P(s)C(s)) = s+1/(s-1)(s+2)

となり、不安定である。


P(s)の不安定零点とC(s)の不安定極が相殺している場合

例えば

P(s) = s-1/s+1
C(s) = 1/s-1

の時、特性方程式は前と同じで(s-1)(s+2)である。

この時も

G_ur = P(s)/(1+P(s)C(s)) = s+1/(s-1)(s+2)

となり、不安定である。

これは、分子分母で分解して考えたとき、相殺しているの部分が伝達関数両方含まれないような場合に起こるのだろうか。

4.2.3 フルビッツの安定判別法

伝達関数が高次であったり、パラメータを含む場合、根を求めるのは難しい。
この時、フルビッツの安定判別法を用いると安定性が判断できる。

特性方程式がn次多項式であったとする。これを

a_n*s^n + a_n-1*s^n-1 + ... + a_0 = 0

ただし、a_n<0の時は、-1をかける。

とすると、制御系が安定化どうかを判断するには以下の2つの条件を満たしていればよい。

(1) 係数a_n が全て正である

(2) n = 2kの時、H(3),H(5)...H(2k-1)が全て正である
  n = 2k+1の時、H(2),H(4)...H(2k)が全て正である

ここでHは行列



H = |a_n-1,a_n-3.a_n-5,...., 0|
| a_n,a_n-2,a_n-4,...., 0|
| 0,a_n-1,a_n-3,...., 0|
| 0, 0,a_n-2,...., 0|
|.........................|
| 0, 0,....., a_2,a0|

の主座小行列式

H(2) = |a_n-1,a_n-3|
| a_n,a_n-2|

H(3) = |a_n-1,a_n-3,a_n-5|
| a_n,a_n-2,a_n-4|
| 0,a_n-1,a_n-3|


の行列式である。

例4.3

垂直駆動アームをフィードバック制御を用いて安定するようにコントローラを設定することを考える。

C(s) = kp*s+ki/s

と考え、kpとkiの値を考える。

垂直駆動アームのθ=0の近傍での伝達関数は

P(s) = 1/(Js^2+cs+Mlg)

である。ここで特性方程式は

D_P(s)D_C(s)+N_P(s)N_C(s) = s(Js^2+cs+Mlg) + kps + ki = Js^3 + cs^2 + (kp+Mlg)s + ki = 0

である。これの安定性を求めると

条件1より、
kp + Mlg > 0
ki > 0

条件2より


H = | c, ki, 0|
| J,kp+Mlg, 0|
| 0, c,ki|


k=1なので

det[H(2)]が正であればいい



H(2)| c, ki|
| J,kp+Mlg|



なので、det[H(2)] = c(kp+Mlg) - ki*J > 0
であればよい。

c>0,J>0なので、条件1と2より

kp > -Mlg
0 < ki < c(kp+Mlg)/J

となるようにパラメータを与えればいいことがわかる。やった!前節の疑問も解決!

問題4.3

P(s) = 5/(s^2+2s+2)

という2次遅れ系の安定性を考える。

(1) C(s) = kpとした時の安定となるkpの範囲を求める。

特性方程式は

s^2+2s+2 + 5kp = s^2 + 2s + (2+5*kp)

フルビッツの安定判別法から
条件1

2+5kp > 0

5kp > -2

条件2から

H = | 2, 0|
  | 1,3+5kp|

k=1より
行列式は

H(1) = 2
となるので条件2は無視

よって求めるkpの範囲は

kp > -2/5

となる。

(2) C(s) = kp*s+ki/s

とすると

特性方程式は

s(s^2+2s+2) + 5(kps+ki) = s^3 + 2s^3 + (5kp+2)s +5ki

条件1より

kp > -2/5
ki > 0

条件2より


H = | 2, 5ki, 0|
| 1, 5kp+2, 0|
| 0, 2,ki|

k=1なので

H(2)の行列式

10kp+4 - 5ki > 0

ならば良い。

kp > 5ki-4/10 = kp > -2/5 + 1/2*ki
ki < 10kp+4/5

よって

kp > -2/5
ki < 10kp+4/5

となる。

まとめ

伝達関数を分子分母に分け、それぞれで各ポイントの出力をみることで、不安定な極零相殺などが示された。
また、分子分母に分けた際、フィードバック制御の各ポイントの分母は等しく、これを特性方程式という。

この特性方程式の根の実部が全て負であれば、安定である。

しかし、特性方程式が必ずしも根を解析的に解けるとは限らない。
そこで、特性方程式の係数のみで安定性を判別できる
フルビッツの安定判別法がある。これは

(1) 係数a_n が全て正である

(2) n = 2kの時、H(3),H(5)...H(2k-1)が全て正である
  n = 2k+1の時、H(2),H(4)...H(2k)が全て正である

ここでHは行列



H = |a_n-1,a_n-3.a_n-5,...., 0|
| a_n,a_n-2,a_n-4,...., 0|
| 0,a_n-1,a_n-3,...., 0|
| 0, 0,a_n-2,...., 0|
|.........................|
| 0, 0,....., a_2,a0|

の主座小行列式

H(2) = |a_n-1,a_n-3|
| a_n,a_n-2|

H(3) = |a_n-1,a_n-3,a_n-5|
| a_n,a_n-2,a_n-4|
| 0,a_n-1,a_n-3|


の行列式である。

というものである。


わからないところ

フルビッツの安定判別法における行列Hの正確な形というか、思想がわからねえ。
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