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制御工学その20

6 伝達関数の周波数特性



今まで、システムの特性を調べるのにステップ入力を用いてきた。
本章では、入力として様々な正弦波を与える事でシステムの特性を調べることを考える。
この時のシステムの振る舞いを周波数特性という

6.1 周波数応答と周波数伝達関数



システムP(s) = Y(s)U(s)の入力u(t)に正弦波を与えたときの出力y(t)を周波数応答という。

例6.1

y(s) = P(s)u(s)
P(s) = 1/(s+1)

に対し、u(t) = A*sinωt (A>0,ω>0)
を加えたときのy(t)を考える。

u(t) = A*sinωtをラプラス変換すると

u(s) = Aω/(s^2+ω^2)

となるので、
出力は

y(s) = 1/(s+1) * Aω/(s^2+ω^2)

部分分数分解すると

y(s) = k1/(s+1) * k2/(s+ωi) * k3/(s-ωi)

k1 = Aω/(1+ω^2)
k2 = A(i-ω)/2(1+ω^2)
k3 = A(i+ω)/2(1+ω^2)

となる。これを逆ラプラス変換すると

y(t) = k1*e^-t + k2*e^-ωit + k3*e^ωit

オイラー方程式を用いて整理すると

y(t) = k1*e^-t + k2*(cosωt-i*sinωt) + k3(cosωt+i*sinωt)

k2,k3を展開すると

y(t) = k1*e^-t + A/(1+ω^2)*(sinωt - ω*cosωt)

となる。tが十分経過すれば第一項は0になるので、
結局出力は

y(t) ≒ A/sqrt(1+ω^2)*sin(ωt + tan-1(-ω))

となり、これは入力A*sinωtと同じ周波数の正弦波である。

ここで、システムの特性を決めているのは、振幅の係数B(ω) = A/sqrt(1+ω^2)と位相差G_p(ω) = -tan-1(ω)

である。特に、振幅係数と入力振幅の比

G_g(ω) = B(ω)/A = ゲイン

と位相差

G_p(ω)

の2つでシステムの特性を表現することが出来る。

一般に、安定なシステムに正弦波を入力すると

A*G_g(ω)*sin(ωt+G_p(ω))

の出力を得る。このように、システムに様々な正弦波を加えて、システムの特性を知る方法を周波数応答法という。

問題6.2

不安定なシステムP(s) = 1/s-1
にsintを放り込む。

y(s) = 1/(s-1)*1/(s^2+)
部分分数分解すると

y(s) = k1/(s-1) + k2/(s+i) + k3/(s-1)

この時点で逆ラプラス変換すると第一項がe^tとなるため、tが十分経過したときに、発散してしまう。

6.1.2

周波数伝達関数と、ゲイン、位相差の関係

ゲイン、位相差を求めるために毎回逆ラプラス変換するのは面倒である。
なので、周波数伝達関数からゲインと位相差を直接求めることを考える。

伝達関数P(s)におけるsをωiに置き換えたP(ωi)を周波数伝達関数といいう。
この実部と虚部をそれぞれRe[P(ωi)]、Im[P(ωi)]とすると、ゲインと位相差はそれぞれ

ゲイン = G_g(ωi) |P(ωi)| = sqrt(Re[P(ωi)]^2 + Im[P(ωi)]^2)

位相差 = G_p(ωi) = ∠P(ωi) = tan-1(Im[P(ωi)]/Re[P(ωi)])

で表すことが出来る。これはつまり、P(ωi)を複素平面上のベクトルとしたときの大きさと、実軸との角度に等しい。


例6.2
skip

例6.3

P(s) = 1/(s+1)(s+2)の周波数伝達関数は

P(ωi) = 1/(ωi+1)(ωi+2) = (2-ω^2-3ωi)/(ω^4+5ω^2+4)

であり、

{P(ωi)| = sqrt((2-ω^2)^2+9ω^2)/(ω^4+5ω^2+4) = sqrt(ω^4 + 5ω^2 + 4)/(ω^2+5ω+4) = 1/sqrt(ω^4 + 5ω^2 + 4)

∠P(ωi) = tan-1(3ω/(ω^2-2))

である。

6.1.3

ゲイン、位相差の便利な求め方

前節のように、周波数伝達関数P(ωi)の実部と虚部を求めればゲインと位相差は計算出来るが、その計算が面倒なことも多い。
そこで、便利な求め方を考える。

オイラーの方程式を用いると

P(ωi) = |P(ωi)|*e^i∠P(ωi)

と書くことが出来る。ここで、

P(ωi) = N1(ωi)*N2(ωi)*...*Nm(ωi)/D1(ωi)*D2(ωi)*...*Dn(ωi)

の形をしているならば、

P(ωi) = |N1(ωi)|*e^i∠N1(ωi)*.../|D1(ωi)|*e^i∠D1(ωi)

と、それぞれのN,Dのゲイン、位相差から求めることが出来る。つまり

P(ωi) = |N1(ωi)|*|N2(ωi)|*...*|Nm(ωi)|/|D1(ωi)|*|D2(ωi)|*...*|Dn(ωi)| * e^i(Σ[i=1:m]∠Ni(ωi) - Σ[i=1:n]∠Di(ωi))

となるのである。

例6.4
skip

例6.5
skip

問題6.2
それぞれのP(s)に対し、ゲインと位相差を求める。

問題 6.2

(1) P(s) = 1/(s+5)

P(iω) = 1/(iω+5)
  = (5-ωi)/(25+ω^2)

D1(iω) = (iω+5)
|D1(iω)| = sqrt(25+ω^2)

G_g(ωi) = |P(iω)| = 1/|D1(iω)| = 1/sqrt(25+ω^2)

G_p(ωi) = ∠P(iω) = -∠D1(iω) = -tan-1(ω/5)


(2) P(s) = 1/(s-5)

P(iω) = 1/(iω-5)
  = (5+ωi)/(25+ω^2)

D1(iω) = (iω-5)
|D1(iω)| = sqrt(25+ω^2)

G_g(ωi) = |P(iω)| = 1/|D1(iω)| = 1/sqrt(25+ω^2)

G_p(ωi) = ∠P(iω) = -∠D1(iω) = tan-1(ω/5)

(3) P(s) = 2/(s^2+2s+2)

(s^2+2s+2) = 0
s = -2±sqrt(4-8)/2 = -1±i

P(s) = 2/(s+1+i)(s+1-i)

P(iω) = 2/(iω+1+i)(iω+1-i)

    = 2/(1+(ω+1)i)(1+(ω-1)i)

    = 2(1-(ω+1)i)(1-(ω-1)i)/(1+(ω+1)^2)(1+(ω-1)^2)

    = 2(1-ωi-i)(1-ωi+i)/(1+(ω+1)^2)(1+(ω-1)^2)

    = 2(1-2ωi-ω^2+1) / (1+(ω+1)^2)(1+(ω-1)^2)

    = (2ω^2+4)-4ωi / (1+(ω+1)^2)(1+(ω-1)^2)

N1 = 2
D1 = (iω+1+i)
|D1| = sqrt(1+(ω+1)^2) = sqrt(ω^2 + 2ω + 2)

D2 = (iω+1-i)
|D2| = sqrt(1+(ω-1)^2) = sqrt(ω^2 - 2ω + 2)

G_g(ω) = |P(iω)| = 2/sqrt((ω^2 + 2ω + 2)(ω^2 - 2ω + 2))

    = 2/sqrt((ω^2+2)^2 - 4ω^2) = 2/sqrt(ω^4+4ω^2+4 - 4ω^2) = 2/sqrt(ω^4+4)

∠P(iω) = -(∠D1+∠D2)

∠D1(iω) = tan-1(ω+1)
∠D2(iω) = tan-1(ω-1)

tan(∠D1+∠D2) = ω+1+ω-1/(1-(ω+1)(ω-1)) = 2ω/-ω^2+2

G_p(ω) = ∠P(iω) = -(∠D1+∠D2) = -tan-1(2ω/(-ω^2+2))


(4) P(s) = s(s-1)/(2(s+3)(s+4)(s+5))

N1 = ωi
N2 = ωi-1

D1 =2
D2 = ωi+3
D3 = ωi+4
D4 = ωi+5

|N1| = ω
∠N1 = π|
|N2| = sqrt(1+ω^2)
∠N2 = tan-1ω

|D1| = 2
∠D1 = 0
|D2| = sqrt(9+ω^2)
∠D2 = tan-1(ω/3)
|D3| = sqrt(16+ω^2)
∠D3 = tan-1(ω/4)
|D4| = sqrt(25+ω^2)
∠D4 = tan-1(ω/5)

G_g(ω) = |P(ωi)| = ω*sqrt(1+ω^2) / 2*sqrt(9+ω^2)*sqrt(16+ω^2)*sqrt(25+ω^2) = ω/2 * sqrt((1+ω^2)/((9+ω^2)(16+ω^2)(25+ω^2))

G_p(ω) = (π+tan-1(ω)) - (tan-1(ω/3) + tan-1(ω/4) + tan-1(ω/5)


(5) P(s) =1/(s+1)^10

|N1| = 1
∠N1 = 0

|D1| = sqrt(1+ω^2)
∠D1 = tan-1(ω)

G_p(ω) = |P1(ωi)| = 1/|D1|^10 = 1/(1+ω^2)^5

G_g(ω) = -10*∠D1 = -10*tan-1(ω)

問題6.3

P(s) = s+2/s^2+2s+2

にsintを放り込んだ時のy(t)を求める。

P(s)のゲイン、位相差をまず求める。

P(ωi) = (ωi+2)/(ωi+1+i)(ωi+1-i)

N1 = ωi+2

D1 = 1+(ω+1)i
D2 = 1+(ω-1)i

|N1| = sqrt(4+ω^2)
|D1| = sqrt(1+(ω+1)^2) = sqrt(ω^2 + 2ω + 2)
|D2| = sqrt(1+(ω-1)^2) = sqrt(ω^2 - 2ω + 2)

G_g(ω) = |P(a)| = sqrt((4+ω^2)/(ω^4+4))

∠N1 = tan-1(ω/2)
∠D1 = tan-1(ω+1)/1)
∠D2 = tan-1(ω-1)/1

G_p(ω) = tan-1(ω/2) - tan-1(2ω/(-ω^2+2))) = tan-1(tan(tan-1(ω/2) - tan-1(2ω/(-ω^2+2)))))

= tan-1( ω/2-(2ω/(-ω^2+2)/(1-ω/2*(2ω/(-ω^2+2)) = tan-1(-ω(ω^2+2)/4)


詳細:(2-ω^2)*ω/2 - 2ω / 2-ω^2 - ω^2 = (2ω - ω^3-4ω)/2 / (4-2ω^2-ω)/2 = -ω(ω^2+2)/4

つまり出力y(t)は

y(t) = A*sqrt((4+ω^2)/(ω^4+4))*sin(ωt+tan-1(-ω(ω^2+2)/4(1-ω^2)))

入力がsintなのでA=1,ω=1とすると

y(t) = 1*1*sin(t+θ) = sin(t+θ)
θ = tan-1(-4/3)

まとめ

システムに正弦波を放り込むことでいろんな特性がわかるらしい。
安定システムに正弦波を放り込むと出力もたいてい正弦波になる。
その時、式は

u(t) = Asinωtで
y(t) = A*G_g(ω)*sin(ωt+G_p(ω))

となる。この時の
G_g(ω)が振幅比ゲイン
G_p(ω)が位相差となる。

このG_gとG_pはP(s)の入力をωiとしたときの周波数伝達関数を複素平面上のベクトルとしたときの大きさと角度で表される。
つまり、

ゲイン = G_g(ωi) |P(ωi)| = sqrt(Re[P(ωi)]^2 + Im[P(ωi)]^2)

位相差 = G_p(ωi) = ∠P(ωi) = tan-1(Im[P(ωi)]/Re[P(ωi)])

である。また、伝達関数が分子分母それぞれが小さな伝達関数の掛け算で表されているならば、簡単に求めることができる。

P(ωi) = |N1(ωi)|*|N2(ωi)|*...*|Nm(ωi)|/|D1(ωi)|*|D2(ωi)|*...*|Dn(ωi)| * e^i(Σ[i=1:m]∠Ni(ωi) - Σ[i=1:n]∠Di(ωi))

である。

わからないところ

なし
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