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制御工学その21

6.2 周波数特性



周波数応答を表すことの出来る代表的なものにベクトル軌跡とボード線図がある。

6.2.1 ベクトル軌跡

周波数伝達関数は、複素平面上のベクトルとして考えることが出来た。
それを利用して、周波数ωを0から∞まで変化させたときの軌跡をベクトル軌跡と呼ぶ。
また、周波数ωを-∞から∞まで変化させたときの軌跡をナイキスト軌跡という。

さらに、0から-∞まで変化させたときの軌跡は、0から∞まで変化させたときの軌跡の実軸対称となる。
よって、ベクトル軌跡のみを描くことが一般的である。

6.2.2 ボード線図

ボード線図は、周波数ωに対するゲイン|P(iω)|を示すゲイン特性と
位相差∠P(iω)を示す位相特性からなる。
なお、周波数は対数表示、ゲインはデシベル

20*log(10){|P(iω)|}

で表すことが多い。

例6.7

P(s) = 1/(s+1)

のボード線図を考えてみる。

ゲイン、周波数の式はそれぞれ

G_g = 1/sqrt(1+ω^2)
G_p = -tan-1ω

ω << 1 のとき
ゲイン、位相差は

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} = 20*log(10){1} = 0
G_p = -tan-1(0) = 0

ω = 1 のとき

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} = 20*log(10){1/2} ≒ -3.01
G_p = -tan-1(1) = -45°

ω >> 1 の時

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} ≒ 20*log(10){1/ω} = -20*log(10){ω}
G_p = -tan-1∞ = 90°

すなわち、低周波数ではゲイン、位相差共に0であるが、
高周波数におけるゲインは10倍(1デカード)ごとに-20減少し、位相差は-90°となる。

問題6.4

ω1 = 20*log(10){G_g} = 20
log(10){G_g} = 1
G_g = 10

ω2 = 20*log(10){G_g} = 0
log(10){G_g} = 0
G_g = 1

ω3= 20*log(10){G_g} = -20
log(10){G_g} = -1
G_g = 1/10

ω4 = 20*log(10){G_g} = -40
log(10){G_g} = -2
G_g = 1/100


6.2.3 周波数特性の指標

周波数特性の指標には以下のものがある

・バンド幅
 ωb: |P(iω)| = |P(0)|*sqrt(2)
 となるような周波数ωbをバンド幅という。

・ピーク周波数、共振ピーク
 Mp = max(|P(ωi)|)
 となるような周波数ωpをピーク周波数、その時のMpを共振ピークという。

これらの指標と、周波数応答の関係は以下になる。

・バンド幅
 システムの出力y(t)は入力u(t)のバンド幅ωb付近までの周波数成分に追従できる。
 したがって、バンド幅が大きければ高い周波数成分に追従できる。
 これは、速応性の指標になる。

・ピーク周波数
 共振ピークMpがP|0| = 1より大きい時、ピーク周波数付近では、出力の振幅が入力の振幅より大きくなる。
 このような現象を共振という。共振ピークが大きければ、出力の振れが大きくなるため、システムの安定性の指標になる。

6.3 基本要素の周波数特性



6.3.1 一次遅れ要素

一次遅れ要素

P(s) = 1/1+Ts

に対するゲインと位相差は

G_g = 1/sqrt(1+(Tω)^2)
G_p = -tan-1(ωT)

となる。

ボード線図を考えると、前節の例と同じで、

ωT << 1 のとき
ゲイン、位相差は

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} = 20*log(10){1} = 0
G_p = -tan-1(0) = 0

ωT = 1 のとき

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} = 20*log(10){1/2} ≒ -3.01
G_p = -tan-1(1) = -45°

ωT >> 1 の時

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} ≒ 20*log(10){1/ω} = -20*log(10){ωT}
G_p = -tan-1∞ = 90°

である。


この時、ボード線図を書くと分かるが、ω=1/T(この時の1/Tは、ωbに等しい。)を境に、0と-20*log(10){ω}で近似できる。
また、位相特性も0<ω<1/5Tで0に、ω>5/Tで90に、さらにその間を直線で近似できる。

このような近似の仕方を折れ線近似という。

一次遅れ系の周波数特性

 ・低周波数 0< ω << 1/T
  ゲイン、位相差共にほぼ0である。

 ・高周波数 1/T << ω
  ゲインは-20で減少し、位相差は最大で90°遅れる。

 ・バンド幅ωb = 1/T
  ゲインは-3.01であり、位相差は45°遅れている。
  なお、時定数Tを小さくすると、バンド幅は大きくなるため速応性が良くなる。

 ・ゲイン|P(iω)|が1を超えることはないため、共振は発生しない。したがって、安定度は時定数Tに依存しない。

これらの特性は、s領域での特性と等しい。

このように、一次遅れ系は高周波数の信号を除去して、低周波数の信号のみを通すため、ノイズの除去などに用いる
一次のローパスフィルタとして用いられることが多い。
この時、周波数1/Tをカットオフ周波数と呼ぶ。

問題6.5

P(s) = 1/1+Ts
P(ωi) = x+yiとすると、

1/1+Tωi = 1-Tωi/1+ωT^2

よって

x = 1/1+ωT^2
y = -Tω/1+ωT^2

また、∠P(ωi) = -tan-1(ωT) = -tan-1(-y/x)

これを用いて

1/1-(y/x)i = x+yi

(x+yi)(1-yi/x) = 1

x+yi - yi + y^2/x = 1

x^2 + y^2 = x

x^2 - x + 1/4 + y^2 = 1/4

(x-1/2)^2 + y^2 = (1/2)^2

という円の方程式に置き換えることが出来る。
これは中心(1/2,0)、半径1/2の円である。

問題6.6

ベクトル軌跡は、半円の極点がω = 1/10のときである以外変化なし


P(s) = 1/1+10sのボード線図を考える


ωT << 1 のとき
ゲイン、位相差は

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} = 20*log(10){1} = 0
G_p = -tan-1(0) = 0

ωT = 1 のとき

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} = 20*log(10){1/2} ≒ -3.01
G_p = -tan-1(1) = -45°

ωT >> 1 の時

G_g = 20*log(10){1/sqrt(ω^2+1)} ≒ 20*log(10){1/ω} = -20*log(10){ωT}
G_p = -tan-1∞ = 90°

である、ここでT=10なので

バンド幅ωb = 1/10にを境にゲインは-20減少へ折れ線近似し、
位相差は1/50,1/10,1/2を境に折れ線近似する。

まとめ

6.2

周波数応答を表す図として、ベクトル軌跡とボード線図がある。
ボード線図は、周波数帯に対するゲインと位相それぞれの変化を表している。
また、ゲインはデシベル 20*log(10){x}で表すことが多い。

さらに、周波数応答の特性を表す指標として以下のものがある

・バンド幅
 ωb: |P(iω)| = |P(0)|*sqrt(2)
 となるような周波数ωbをバンド幅という。

・ピーク周波数、共振ピーク
 Mp = max(|P(ωi)|)
 となるような周波数ωpをピーク周波数、その時のMpを共振ピークという。

これらの指標と、周波数応答の関係は以下になる。

・バンド幅
 システムの出力y(t)は入力u(t)のバンド幅ωb付近までの周波数成分に追従できる。
 したがって、バンド幅が大きければ高い周波数成分に追従できる。
 これは、速応性の指標になる。

・ピーク周波数
 共振ピークMpがP|0| = 1より大きい時、ピーク周波数付近では、出力の振幅が入力の振幅より大きくなる。
 このような現象を共振という。共振ピークが大きければ、出力の振れが大きくなるため、システムの安定性の指標になる。


6.3

一次遅れ系に対する周波数特性を、前節で取り上げた指標、図からみる。

一次遅れ系の特徴は以下

 ・低周波数 0< ω << 1/T
  ゲイン、位相差共にほぼ0である。

 ・高周波数 1/T << ω
  ゲインは-20で減少し、位相差は最大で90°遅れる。

 ・バンド幅ωb = 1/T
  ゲインは-3.01であり、位相差は45°遅れている。
  なお、時定数Tを小さくすると、バンド幅は大きくなるため速応性が良くなる。

 ・ゲイン|P(iω)|が1を超えることはないため、共振は発生しない。したがって、安定度は時定数Tに依存しない。

これらの特性は、s領域での特性と等しい。


わからないところ

速応性と安定性の指標になるバンド幅、ピーク周波数と前にやったs領域での指標との関係が少し気になる。
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