fc2ブログ

制御工学その27

7.3 フィードバック制御と周波数整形



7.3.1 フィードバック特性

ナイキストの安定判別により安定性を周波数領域で考えることが出来たが、
以下のフィードバック特性も周波数領域で考えることが出来る。

(a) 感度特性

制御対象の伝達関数P(s)がパラメータ変動や同定誤差の影響で実際には

P'(s) = P(s) + ΔP(s)

であったとすると、目標値r(s)から操作量y(s)への伝達関数

G_yr(s) = P(s)C(s)/1+P(s)C(s)

は実際には

G'_yr(s) = P'(s)C(s)/(1+P'(s)C(s)) = (P(s)+ΔP(s))C(s) / 1+(P(s)+ΔP(s))C(s)

となる。ここで、P(s)の変動に対するG_yrの感度をS(s)とし。

S(s) = (ΔG_yr(s)/G_yr(s))/(ΔP(s)/P(s))

ただし、ΔG_yr(s) = G'_yr(s) - G_yr(s)

と定義する。これはP(s)の変動率に対するG(s)の変動率の比である。
すると

S(s) = G'_yr(s)-G_yr(s)/G'_yr(s) * P'(s)/P'(s)-P(s) = (1- (P(s)C(s)/1+P(s)C(s))/(P'(s)C(s)/(1+P'(s)C(s)))) * P'(s)/P'(s)-P(s)

= (1 - P(s)*(1+P'(s)C(s))/(P'(s)*(1+P(s)C(s))) * P'(s)/(P'(s)-P(s)) = 1/1+P(s)C(s)

したがって、感度関数S(s)はP(s)が変動したときのG_yr(s)が受ける影響の指標になる。
目標値信号は通常、低周波成分を多く含むため、P(s)が変化したときのG_yr(s)が受ける影響を小さくするには、
|S(ωi)|を小さくする必要がある。


(b) 目標値追従特性

目標値r(s)から偏差e(s)への伝達関数は

G_er(s) = 1/1+P(s)C(s) = S(s)

である。目標値成分は低周波成分を多く含むため、目標値追従のためには|S(ωi)|を小さくする必要がある。


(c) 入力外乱抑制特性

入力外乱d(s)から制御量y(s)への伝達関数は

G_yd(s) = P(s)/1+P(s)C(s) = P(s)S(s)

である。入力外乱も低周波成分を多く含むため、入力外乱抑制のためには低周波領域で

|G_yd(ωi)| = |P(ωi)S(ωi)|を小さくすればいい。つまり、|S(ωi)|を小さくすれば、入力外乱を抑制することが出来る。


(d) 観測雑音除去特性

ノイズn(s)から制御量y(s)への伝達関数は

G_yn(s) = P(s)C(s)/1+P(s)C(s) = -T(s)

となる。ここで

T(s) = 1 - S(s)

であり、これを相補感度関数と呼ぶ。

ノイズは通常、高周波成分を多く持つため、観測雑音除去を行うためには|T(ωi)|を小さくする必要がある。



7.3.2 周波数整形

感度関数S(s)と相補感度関数T(s)には

S(s) + T(s) = 1

の関係が立つため、すべての周波数でS(s)とT(s)を同時に小さくすることは出来ない。
そこで、低周波領域でS(s)を小さく、高周波領域でT(s)を小さくするように、コントローラを設計すればいい。

また、低周波領域では |P(ωi)C(ωi)| >> 1であるため

S(ωi) = 1/1+P(ωi)C(ωi) ≒ 1/P(ωi)C(ωi)

と近似でき、高周波領域では |P(ωi)C(ωi)| << 1であるため、

T(ωi) = P(ωi)C(ωi)/1+P(ωi)C(ωi) ≒ P(ωi)C(ωi)

と近似することが出来る。

ここで、L(s) = P(s)C(s)の周波数整形の指標をまとめる。

(1)低周波領域

考慮する入力外乱と目標値の周波数がω_L以下であれば、ω_L以下で開ループ伝達関数のゲインを大きくし、感度特性、
目標値追従特性、入力外乱抑制特性を改善する。
また、ω→0におけるゲインの傾きが0なら定常偏差e_∞が残り、-20[dB/sec]で定常偏差e_∞が0になる。

(2)ゲイン交差周波数近辺

安定性を確保するため、ゲイン交差周波数ω_gc近辺のゲインの傾きを緩やかにし、十分な安定余裕をもたせる必要がある。
また、ω_gcを大きくすると速応性が向上し、ω_gcにおける位相余裕を大きくすると減衰性が向上する。

(3)高周波領域

考慮するノイズの周波数がω_H以上の高周波領域であるなら、ω_H以上で|L(ωi)|を小さくし、
観測雑音除去特性を改善する。


PIDコントローラを用いると、これらの指標をある程度実現できる。つまり、(1)を実現するにはC(s)に比例要素+積分要素を持たせればよく、
(2)を実現するにはC(s)に微分要素を持たせればよく、(3)を実現するにはC(s)に一次遅れなどのローパスフィルタを含ませれば良い。

まとめ

フィードバック特性を周波数領域で改善することを考えた。それぞれの入力は、それぞれ最も多く含む周波数領域をもつため、
それぞれが最も多い周波数領域でそれぞれ改善すればうまくいく。つまり

感度特性、目標値追従特性、入力外乱抑制特性はそれぞれの入力に低周波成分を多く含むため、低周波領域でこれらを改善できるようする。
観測雑音除去特性は、入力に高周波成分を多く含むため、高周波領域で改善できるようにする。

以下にそれぞれの指標をまとめる。

(1)低周波領域

考慮する入力外乱と目標値の周波数がω_L以下であれば、ω_L以下で開ループ伝達関数のゲインを大きくし、感度特性、
目標値追従特性、入力外乱抑制特性を改善する。
また、ω→0におけるゲインの傾きが0なら定常偏差e_∞が残り、-20[dB/sec]で定常偏差e_∞が0になる。

(2)ゲイン交差周波数近辺

安定性を確保するため、ゲイン交差周波数ω_gc近辺のゲインの傾きを緩やかにし、十分な安定余裕をもたせる必要がある。
また、ω_gcを大きくすると速応性が向上し、ω_gcにおける位相余裕を大きくすると減衰性が向上する。

(3)高周波領域

考慮するノイズの周波数がω_H以上の高周波領域であるなら、ω_H以上で|L(ωi)|を小さくし、
観測雑音除去特性を改善する。

そして、上に上げた3つは、PIDコントローラを用いればある程度実現することが出来る。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR