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制御工学その29

8.1.3 安定性

状態空間表現から伝達関数表現への式は

P(s) = Y(s)/U(s) = C(sI-A)^-1*B+D

であった。このことから、Aの固有値は

|p*I - A| = 0

を満たすp_iであり、これは伝達関数P(s)の極に等しい。
ここから、

p_iの実部が全て負ならば、その時に限ってシステムは安定である。


8.2 状態方程式の解と遷移行列



状態方程式

x'(t) = A*x(t) + B*u(t)

において、u(t)=0とした零入力システム

x'(t) = A*x(t)

を考える。初期状態x(0)に対して、零入力システムの解は

x(t) = e^At*x(0)

である。ここでA*tは遷移行列と呼ばれ、

e^At = I + tA + t^2/2!*A^2 ... + t^k/k! * A^k ...

であらわされる無限級数である。

すると状態方程式の解は

x(t) = e^At*x(0) + int[0-t]{e^At*Bu(τ)}dτ

となる。

8.2.2 遷移行列の計算

今まででわかったように、システムの安定性は遷移行列e^Atに大きく依存する。
このe^Atを定義から求めるのは困難なので、ラプラス変換を利用して求めることが多い。

x'(t) = A*x(t)

をラプラス変換すると

s*X(s) - X(0) = A*X(s)

つまり

X(s) = (sI-A)^-1*x(0)

となり、これを逆ラプラス変換すると

x(t) = L^-1{(sI-A)^-1]*x(0)

となるので、

e^At = L^-1{(sI-A)^1}

となる。ここで、Aの固有値の実部が負であるなら、システムは任意の初期状態x(0)に対して
t→∞のときx→0となるため安定な振る舞いをする。特に、t→∞でx→0となるとき、漸近安定という。

例8.4 遷移行列の計算


A = |0,1|
|2,2|

(sI-A)^-1 = |s, -1|^-1
|2,s+2|

= 1/(s^2+2s+2) * |s+2,1|
| -2,s|

= 1/((s+1)^2+1^2) * {(s+1)*|1,0| + 1*| 1,1|}
|0,1} |-2,1|

ここで逆ラプラス変換して

e^At = e^-t*{|1,0|*cost + | 1,1|*sint}
|0,1| |-2,1}


となる。したがってx(t)は式

x'(t) = e^At*x(0)

つまり



|x1(t)| = e^-t*{|1,0|*cost + | 1,1|*sint} * |x1(0)|
|x2(t)| |0,1| |-2,1} |x2(0)|

= e^-t * | (cost+sint)*x1(0)+sint*x2(0)|
|-2sint*x1(0)+(cost-sint)*x2(0)|

となる。

問題8.2


A = | 0, 1|
|-6,-5|

のときの固有値e^Atを求める。


(sI-A)^-1 = (|s,0| - | 0, 1|)^-1 = |s, -1|^-1
|0,s| |-6.-5{ |6,s+5|

= 1/(s^2+5s+6)*|s+5,1| = 1/(s+2)(s+3) * |s+5,1| = k1/(s+2) + k2/(s+3)
| -6,s| | -6,s|



部分分数計算をする


k1(s+3) + k2(s+2) = |s+5,1|
| -6,s|

= (k1+k2)s + 3k1+2k2 = |s+5,1| = |s,0| + | 5,1|
| -6,s| |0,s| |-6,0|

k1+k2 = |1,0|
|0,1|

3k1+2k2 = | 5,1|
|-6,0|

3(I-K2) + 2k2 = | 5,1|
|-6,0|

-k2 = | 5,1| - 3I
|-6,0|

k2 = -(| 5,1| -3I) = -| 2, 1| = |-2,-1|
|-6,0| |-6.-3| | 6. 3|

k1 = I-k2 = | 3, 1|
|-6,-2|



よって、


e^-At = e^-2t*| 3. 1| + e^-3t*|-2,-1|
|-6,-2| | 6. 3|


となる。

8.3 制御系設計



8.3.1 可制御性と可観測性

制御の目的は、制御対象の状態x(t)を初期値x(0)から任意の状態に移すことである。
このような操作量は存在するだろうか。
任意の目標に到達できる操作量u(t)が存在することを、システムが可制御であるといい、システムが可制御であるかどうかは

可制御行列

V_c = {B,AB,...A^n-1*B}

が正則、rankV_cがnであることと等しい。

また、状態空間表現をベースに設計されるコントローラは通常状態変数x(0)をフィードバックする構造を持つ。
センサによってすべての成分が検出されるなら問題ないが、そうでないならば何らかの方法で状態変数を推測する必要がある。

制御量y(t)が検出可能である場合、y(t)は観測量と呼ばれるが、観測量と操作量から状態変数を正確に知ることが出来るならば
システムは可観測であるという。

システムが可観測であるかどうかは

可観測行列


V_o = | C|
| CA|
| .|
| .|
|C*A^n-1|


が正則である、すなわちrankV_o=nであることと等しい。


8.3.2 状態フィードバック

ここでは、状態変数x(t)が何らかの方法で利用可能であるとし、コントローラ

u(t) = K*x(t) + H*r

を用いることを考える。
ここで、K*x(t)は状態フィードバック、H*rは目標値rからのフィードバックである。
さらに、Kは状態フィードバックゲインと呼ばれる1*nのベクトル、Hはスカラーのフィードフォワードゲイン、rは定値の目標値である。

例8.5 垂直駆動アームのP-D制御

以前用いた垂直駆動アームのP-D制御コントローラは

u(t) = kp*e(t)-kD*y'(t)
e(t) = r - y(t)

であった。ただし、y(t) = θ(t),e(t) = r(t)である。
ここで、状態変数x1(t) = θ(t),x2(t) = θ'(t)とすると


u(t) = kp*(r-x1(t)) - kD*x2(t) = |-kp,-kD| * |x1(t)| + kp*r
|x2(t)|


となり、節頭で示したコントローラと同じ形式になる。

特に目標値がr=0であるとし、H=0とすると

u(t) = K*x(t)

となる。これは状態変数x(t)をフィードバックしているので状態フィードバックと呼ばれる。
状態フィードバックを用いたとき、状態方程式は

x'(t) = (A+BK)*x(t)

となるため、A+BKの固有値の実部がすべて負であるようにフィードバックゲインKが選ばれていると
システムは漸近安定となる。

まとめ

8.1.3

状態方程式

x'(t) = A*x(t) + B*u(t)

においてAの固有値

|p*I - A| = 0

を満たすp_iの実部が全て負ならば、その時に限ってシステムは安定である。


8.2

状態方程式の解は

x(t) = e^At*x(0) + int[0-t]{e^At*Bu(τ)}dτ

によってあらわされ、このときの

e^Atを遷移行列と呼ぶ。

遷移行列は主にラプラス変換を用いて計算することができる。

8.3

システムが実現したい目標値を達成するような操作量が存在するとき、システムは可制御であるといい、システムが可制御かどうかは
可制御行列が正則であるかどうかと等しい。

また、システムの制御量から内部状態を正確に観測することが出来るときシステムは可観測であるといい、システムが可観測かどうかは
可観測行列が正則であるかどうかと等しい。

8.3.2

状態フィードバックゲインと呼ばれるKを用いて

u(t) = K*x(t) + H*r

というコントローラを用いることが出来る。ここでr=0とし、H=0であるとすると
x'(t) = (A+BK)*x(t)となるので、システムが漸近安定かどうかは、

A+BKの固有値の実部がすべて負であるかを調べればよい。

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